明治31年式戸籍の見方
明治31年式戸籍の特徴
新たに「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄が追加され、「いつ」「どのような理由で」戸主になったかということが明確に記載されるようになりました。被相続人の戸籍を遡る作業においては、戸籍が作られた日がはっきりとわかるので便利です。
それまでの戸籍は徴税や兵役などといったことに目的があったと言えますが、明治31年の戸籍法改正では、戸籍の目的を「身分の公証」としました。そのため、明治19年式の様式と比較すると、父母の氏名や続柄、出生欄なども明確になりました。
明治31年式戸籍の見本
※画面拡大できます
田中公一さんが戸主の戸籍です。この戸籍から読み取れることは下記のような事柄になります。
戸籍の始まりと終わりに関する事柄ついて
・明治32年8月15日に父彦三郎さんが亡くなり長男の公一さんが家督相続した。
※つまり、この戸籍の始まりは明治32年8月15日となります。
※明治31年式では戸主となった原因と日付が明確です。
・昭和4年8月13日に彦三郎さんが死亡した。
・彦三郎さんの死亡によって昭和4年9月5日に二男の寅次郎さんが家督相続した
・上記の家督相続によって、同日この戸籍が除籍された。
※つまり、この戸籍の終わりは昭和4年9月5日となります。
個人の事柄について
・公一さんは安政3年7月7日生まれで、父彦三郎、母佐ちの長男である。
・公一さんは明治32年8月15日に父の死亡によって家督相続し戸主となった。
・公一さんは昭和4年9月5日に死亡した。
・佐ちさんは天保6年5月8日生まれで、父畠中萬次郎、母多江の五女である。
・明治14年4月23日に彦三郎と佐ちは結婚した。
・佐ちさんは結婚前は父萬次郎の戸籍(七郷村)に入っていた。
・ときさんは安政4年8月15日生まれで、父木村寅吉、母フミ子の三女である。
・ときさんは大正13年2月1日に死亡した。
・公吉さんは明治15年10月15日生まれで、父公一、母ときの長男である。
・公吉さんは明治16年2月19日に死亡した。
・寅次郎さんは明治18年1月30日生まれで、父公一、母ときの二男である。
・寅次郎さんは昭和4年9月5日父公一さんの死亡により家督相続した。
以上が上記の戸籍から読み取ることができる事柄となります。公一さんの戸籍を遡る場合であれば、同じ本籍地で戸主が父彦三郎さんの戸籍を取得することになります。また妻のときさんを遡るのであれば、木村寅吉さんが戸主の戸籍を取得します。