戸籍を読み取る上でのポイント
戸籍を正しく読むための3つのポイント
相続手続をする際に欠かすことのできない作業として、被相続人(故人)の出生から死亡までの連続した戸籍を取得するということがあります。
法定相続人が誰であるかを公的に証明するために必ず必要な作業となりますが、戸籍を遡るためには法改正によって様式が変遷した様々な戸籍を読み取ることが必要です。
ここでは、戸籍を読み取るためのポイントを解説致します。
戸籍を読み取る上でのポイントは下記の3点です。
@ 戸籍の『種類』を理解しましょう
戸籍には戸籍謄本(現在は全部事項証明書と言います)、除籍、改製原戸籍があります。また、必要な人のみを記載したものは謄本ではなく、抄本と言います。
A 1通の戸籍について『始まり』と『終わり』を理解しましょう
戸籍には必ず「いつ編製されたものか」「いつ閉鎖されたものか」という2点が書かれています。戸籍を連続させるためには、この始まりと終わりを読み取ることが大切です。
B 戸籍の『様式』を理解しましょう
法律が改正されるたびに戸籍の様式は大きく変更されてきました。様式によって記載内容が違いますので、それぞれの様式の特徴を理解することが大切です。
戸籍の様式の変遷と特徴
@ 明治5年式戸籍(壬申戸籍)(明治5年2月〜明治19年10月までに作成されたもの)
この様式は現在、保存期間経過により廃棄されているため除籍謄本などは交付されません。また、現存しているものに関しては法務局で封印され厳重に保管されています。
A 明治19年式戸籍(明治19年10月〜明治31年7月までに作成されたもの)
家の単位に戸主を中心としてその直系・傍系の親族を一つの親族として記載。出生・死亡・結婚・離婚・養子縁組を主に記載。また、失踪者の帰還、家督相続の変更、族称の改称、勘当等も記載されていました。
B 明治31年式戸籍(明治31年7月〜大正3年12月までに作成されたもの)
「戸主となりたる原因および年月日欄」が追加されました。家督相続の年月日が記載される欄が確定されたので、見方さえわかれば戸籍の始まりがわかりやすくなりました。ただし、家督相続の後に転籍されている場合は注意が必要です。
C 大正4年式戸籍(大正4年1月〜昭和22年12月までに作成されたもの)
「戸主となりたる原因および年月日欄」が廃止され、その内容が事項欄にかかれるようになりました。
D 昭和23年式戸籍(現行の戸籍)(昭和23年1月〜電算化までに作成されたもの)
旧民法から民法に変わり、家督相続制度(家の単位)から夫婦親子単位に変更されました。ここの改正が一番大きく、3世代を一つの戸籍で作成できなくなりました。『戸主欄』『前戸主欄』がなくなり、代わりに『筆頭者氏名欄』ができました。
E 平成6年式戸籍(直近の改製)(現在の電算化された戸籍)
それまでの紙戸籍を綴って戸籍簿として管理していたものを電算化(コンピューター導入)して管理してよいことになりました。戸籍の電算化が行われた市区町村では紙の戸籍簿の内容を電算化させ、縦書きから横書きに変更になりました。平成10年前後から電算化された市町村が増えましたが、予算の関係などにより、まだ電算化されていない市町村もあります。