戸籍を取る
「戸籍を取る」手続きは、他の手続きと関わりがあります。
「相続税の申告と納税(相続を知った日から10か月以内)」の手続きは、単発の手続きではありません。
お示しした一連の手続きを行っておかないと、「相続税の申告と納税」の手続きが行うことができません。
つまり、一連の手続きの集大成が、「相続税の申告と納税」の手続きといえます。
この集大成の手続きは、税理士に依頼することなく、相続人自らが行ってもいいのです。
相続の手続きで「誰が相続人か」を証明するのは、戸籍謄本(現在は戸籍全部事項証明書)です。謄本は婚姻と親子関係の記録なので、古い戸籍をたどることで、親子や兄弟姉妹を調べることができます。
相続経験者の多くが、もっとも大変だったことに、「戸籍謄本をそろえること」をあげています。相続に必要な戸籍謄本は少ない人で3〜4通、多い人では10通以上になることもあるからです。
相続に戸籍は必ず必要です
法定相続人とは、民法で決められた相続する権利を有する人達のことです。
法定相続人がの何人いるのかを調べるために戸籍が必要になります。戸籍を読み解くことによって、法定相続人の数を確定できます。
相続税がかからないときでも、相続財産の名義変更が必要です。
たとえば、亡くなった人(被相続人)名義の預貯金の口座は、亡くなった時点で銀行に凍結され、自由に引き出しできなくなります。
凍結を解除するには、被相続人と相続人全員の戸籍謄本の提出が必要です。
銀行は誰が法定相続人なのか確認したいのです。
法定相続人を見つける手順
相続手続きにおける「戸籍」を取る目的は、「法定相続人」が誰なのかを調べるためです。
法定相続人になる可能性のある人は、優先順位の高い順に次のとおりです。
1番(被相続人の)子
2番(被相続人の)親
3番(被相続人の)兄弟姉妹
ー第一段階―
「優先順位1番である被相続人の生存している子の存在」が確認できたならば、ここで戸籍を取る作業は完了です。
また、子が既に死亡していた場合でも、「優先順位一番である被相続人の子」の範囲には、代襲相続人(被相続人の孫)も含みます。
―第二段階―
子の存在が確認できない場合(そもそも存在していない、存在していたが既に亡くなっているなど)は、次の戸籍を取る作業・第二段階に進みます。
「優先順位2番である被相続人の生存している親の存在」が確認できたならば、完了です。
また、親が死亡していた場合でも、「優先順位2番である被相続人の祖父母」が生存している場合には、「優先順位2番である被相続人の生存している親」と扱われます。
親の存在が確認できない場合(死亡していた場合)は、次の第三段階に進みます。
―第三段階―
「優先順位3番である被相続人の生存している兄弟姉妹の存在」が確認できたならば、戸籍を取る作業・第三段階は完了です。
なお、兄弟姉妹が死亡していた場合でも、「被相続人の兄弟姉妹の子(=被相続人り甥・姪)」は代襲相続人と扱われます。
無料相談では法定相続人は教えてくれない
税務署などの公的機関の無料相談では、法定相続人が何人いるのかは教えてもらえません。
法定相続人の人数は、市町村役場で戸籍を取ってみないと分からないことなので、公的機関では教えようがないからです。
無料相談で教えてもらえないと、自力で調べるか行政書士や税理士などのプロに依頼することをお勧めします。
また、新しく戸籍が作られることを「編製」といいます。
―まとめ―
法律上(戸籍法13条)規定されている「戸籍に記載されている事項」とは、次の8つです。
1.氏名
2.出生の年月日
3.戸籍に入った原因及び年月日
4.実父母の氏名及び養親との続柄
5.夫婦については、夫または妻である旨
6.養子であるときは、養親の氏名及び養親との続柄
7.他の戸籍から入った者については、その戸籍の表示
8.その他法務省令で定める事項(戸籍法施行規則第30条)